胆嚢結石について


胆嚢とは
肝臓で作られた胆汁は胆管を通って十二指腸に流れます。胆嚢はその胆管の途中に付いている一時的な胆汁の貯蔵袋です。胆汁を濃縮する働きもあります。

胆嚢結石とは
胆嚢の中にできた結石をいいます。大きく分けてコレステロール結石、ビリルビン結石、黒色石の3種類の結石があります。これらの成分が混合した結石や、稀には炭酸カルシウム結石などの結石もあります。個数は1個から多いと100以上認める事もあります。砂のような小さな結石から3cm以上で胆嚢を充満するような大きな結石もあります。

胆嚢結石があると
胆嚢結石があっても全く症状がなく検査で初めて診断される方も多く、そのような胆嚢結石を無症候性胆嚢結石と呼びます。一方、胆嚢結石があると時に胆嚢の流出路に結石がつまって(嵌頓)、胆嚢が腫れあがり右上腹部痛と発熱がでる急性胆嚢炎をおこしたり、胆嚢壁が厚くなって慢性胆嚢炎が起こることがあります。また特に小さめの胆嚢結石は総胆管という胆汁流出路に移動して胆汁の流れを悪くする事があり(総胆管結石症)、その場合は上腹部痛や発熱、黄疸、肝障害などをおこします。その他、胆嚢結石と胆嚢がんの関連がよく質問されます。数多くの胆嚢結石の患者さんが経過観察されている中で胆嚢がんが診断される患者さんは非常に稀といえます。しかし胆嚢がんが診断された患者さんにはしばしば胆嚢結石が認められます。胆嚢結石と胆嚢がんの関連は強くはないようですが全くないとはいえません。

診断について
胆嚢結石のほとんどは超音波検査とCTで診断されます。胃検診でレントゲンに結石が写って診断される事もあります。超音波検査では大体の結石の種類も予想できます。CTはカルシウム成分を持つ結石の診断率は超音波検査よりも高いのですが、純コレステロール結石は胆汁成分とCT値の差が少なく見落とされる事もあります。

治療の適応について
基本的には無症候性胆嚢結石で胆嚢壁に変化がなければ様子みて良いと考えます。超音波検査で胆嚢壁が厚くなっているような場合は治療した方が良いでしょう。特に胆嚢全体でなく壁の一部だけが厚いような場合は癌の合併も否定できないので手術の適応です。その他、急性胆嚢炎を併発した場合も手術の適応です。また総胆管結石は結石摘出治療が必要ですが、胆嚢にまだ結石が残存している場合は再び総胆管に結石が移動する可能性があり胆嚢摘出術の適応があります。

治療法について
胆嚢結石の治療には大きく分けて.手術的治療と.非手術的治療があります。手術的治療には腹壁を大きく切開する開腹胆嚢摘出術と腹壁に4ヶ所ほどの小さな穴をあけて行う腹腔鏡下胆嚢摘出術があります。いずれも結石と一緒に胆嚢を摘出する手術であり、胆嚢結石のみを取り出す手術はありません。非手術的治療としては胆石溶解療法と体外衝撃波胆石破砕療法(ESWL)がありますが、いづれもコレステロール結石のみに適応があり確実性に欠けるため、腹腔鏡下胆嚢摘出術が普及してからはあまり行われなくなっています。腹腔鏡下胆嚢摘出術も万能ではなく上腹部手術歴などがあって腹腔内癒着が強い場合はできないこともあり開腹術に移行することがあります。